おやすみを欠かさない | まくらごはん

おやすみを欠かさない

あいつはどんなに僕が喧嘩をふっかけてもどんなに無視しても、寝る前のおやすみ、朝起きてのおはよう、を欠かさない。僕はそれを知っている。ああまたやってしまった、やってしまった、不安に潰されそうになって布団に入る。背中越しに、優しい声で名前を呼ばれ、おやすみ、と言われる。
返事をする代わりに、少しだけ寝返りをうつふりをする。そうすると大きな手のひらが背中をゆっくり撫でる。それは暖かくて優しくて嬉しくて、自分の不甲斐なさに泣きたくなってしまう いつまでも比較することをやめることができない

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